2008年12月27日土曜日

Description 1809-1818


ナポレオンの「エジプト誌」をインターネット上で見ることができます。DVDでも購入が可能となりました。
19世紀初期の出版ですから、もう相当に古いんですけれども、今でも時折引用される、重要な位置づけにある書籍で、エジプト学における初期の基本文献の筆頭をなすもののひとつ。
ヒエログリフの部分が無視されたり、あるいは筆写がいい加減であったりもするのですが、すでに失われてしまった建築遺構の姿を伝えていたり、また200年近く前の建物の残存状況が詳しく図示されているため、現在でも有用な本となっています。

http://descegy.bibalex.org/index1.html

日本にわずかな数しか輸入されていませんでしたし、実際にこれらを見ることが一昔前までは困難でした。でも縮刷版がリプリントされて出回るようになり、今では事情が改善されています。荒俣宏もこの本については著作を刊行。

端折って、ただの"Description"と呼ばれていますけれども、正式な題名は非常に長いものです。

Description de l'Egypte, ou Recueil des observations et des recherches qui ont ete faites en Egypte pendent l'expedition de l'armee francaise, publie par les ordres de sa Majeste l'Empereur Napoleon le Grand.
9 vols. de texte, 11 vols. de planches et atlas
(Paris, 1809-1818. 2e ed., 1821-1829)

説明文を記した本が9冊と、これとは別に,大きい図版集が11冊、またさらに大きな地図帳が用意されています。
恐るべき書籍で、特に図版集は素晴らしい。ナポレオンの威光のために造られた本です。到底、一人では自由に扱えない大きさと重さを有しており、必要なページを開くのに苦労して格闘しなければならない、とってもおぞましい厄介な本でもあります。非常に大きな地図帳では、クフ王のピラミッドの頂上が標準点として選ばれていたり、当時の面白い解釈に基づく遺跡名など、改めて見直すと発見が多々あります。
テキスト編における、ジョマールによるキュービット尺の論考は、現在では結果として間違っているとしか思われないものの、論旨の進め方は建築の見地からは重要とみなされます。
漢数字が「エジプト誌」に掲載されているのは面白い。シャンポリオンによる解読の前の時代ですが、数字だけは読めたようです。

同様に「エレファント・フォリオ」の範疇に含まれる巨大な判のレプシウスによる報告書もまた、幸運にも現在ではウェブサイトで閲覧することができます。
「デンクメーラー」と呼ばれたり、もっと縮めて、単に"LD"と記される場合が少なくありません。"Lepsius, Denkmaeler"の略。

http://edoc3.bibliothek.uni-halle.de/lepsius/start.html

正式のタイトルは、

Richard Lepsius,
Denkmaeler aus Aegypten und Aethiopien.
12 Tafelbaende, 5 Textbaende
(Berlin, Leipzig, 1849-1913)

古代エジプト建築研究者にとっては必見の書。12冊の図版集と5冊の説明書の、合計17冊。建築遺構に関する図集として、今なお引用が続いています。縮刷版が出ている他、リプリントもあります。縮刷版ではしかし、実測値を読むことができません。

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