2009年2月27日金曜日

Clarke and Engelbach 1930


古代エジプト建築がどのように造られたかを扱う本で、建築家たちによる専門的な考察が含まれます。このように建築構法を考えた書としては、石造に限ったものとしてD. アーノルドの新しい本が現在ではすでに出ていますが、クラークとエンゲルバッハの本の言わば改訂版に相当する一冊。
クラークとエンゲルバッハの本については、複数の安価なレプリント版が広く出回っています。長く読み続けられている、重要な書。

Somers Clarke and R. Engelbach,
Ancient Egyptian Masonry:
The Building Craft
(Oxford University Press, London, 1930)
xvi, 242 p.

Contents:
I. The Earliest Egyptian Masonry
II. Quarrying: Soft Rocks
III. Quarrying: Hard Rocks
IV: Transport Barges
V. Preparations before Building
VI. Foundations
VII. Mortar
VIII. Handling the Blocks
IX. Dressing and Laying the Blocks
X. Pyramid Construction
XI. Pavements and Column Bases
XII. Columns
XIII. Architraves, Roofs, and Provision against Rain
XIV. Doors and Doorways
XV. Windows and Ventilation Openings
XVI. Stairs
XVII. Arches and Relieving Arches
XVIII. Facing, Sculpturing, and Painting the Masonry
XIX. Brickwork
XX. Egyptian Mathematics
Appendices

日乾煉瓦や、あるいは古代エジプトの数学の章も含められており、包括的に扱おうとしている様子がうかがえます。屋根のところでは神殿などで見られる周到な排水計画などについて触れています。ただ、世界最初の石造建築である階段ピラミッドの報告書の刊行は1936年で、そうした成果が充分盛り込まれていません。

29ページでは、アスワーンの未完成のオベリスクの近くで見つかった「労働者別の掘削進行表」が扱われています。これはエンゲルバッハの報告書でお馴染みのもの。3キュービットの計測棒が用いられた可能性も、再びここで記されています。
ただし、註が設けられており、この3キュービットの長さの棒の使用を思いついたのは自分たちではなく「ピートリ卿である」と新しく書き加えられていて、どうして何年も経ってからこういう事実が記されたのか、不思議なところ。

ケンプはさらに近年、3キュービットの棒ではなく、労働者自身の身長に基づいて計測がおこなわれたのではないかと考察しています。70年経って新たな解釈が提示されたわけで、少数の目利きたちによって建築に関する考察がこうしてゆっくりと進み、次第に深められていく様子が分かります。

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