2009年2月6日金曜日

Morrison 2008


建築と数学の関連を探る学会があって、2年ごとに国際的な会議を開催していますが、その第7回目の会議録にソロモンの神殿の復原を検討する論文が掲載されています。

Tessa Morrison,
"Villalpando's Sacred Architecture in the Light of Issac Newton's Commentary,"
in Kim Williams ed.,
Nexus, Vol. VII: Relationship Between Architecture and Mathematics.
Seventh International, Interdisciplinary Conference,
23-25 June 2008, Point Loma Nazarene University,
San Diego, California, USA
(Kim William Books, Turin, 2008)
pp. 79-91.

この風変わりな学会については、

http://www.nexusjournal.com/


を参照のこと。次回はポルトガルのポルトにて2010年に会が開催される予定だそうです。
聖書の中のエゼキエル書で見られる記述に基づき、17世紀の初頭に復原されて初めて詳細に描かれた図面が扱われており、これにアイザック・ニュートンがコメントを残し、対案を示していたという内容。ラテン語による記述を訳しつつ、両者の復原案の違いを詳しく検討しています。

古い未刊行の手稿資料を用いた論考で、執筆者はオーストラリアに在住するポスドク。MSという単語が時折出てきますけれども、これは論文などで用いられる略号で"Manuscript"、すなわち手書き原稿のこと。その複数形はMSSとなります。

ニュートンの手書き原稿を見るためにはイギリスやアメリカへいちいち行かなければなりません。その研究をオーストラリアの学徒が進めているという点に興味が惹かれます。
聖書の断片的な記述から大規模な記念建造物を復原するという作業ですから、今から見てふたつの案が正しい正しくないという点は重要ではなく、むしろ建築を巡る思考回路そのものが主題となる研究。ここには面白い論点が含まれています。
J. リクワートの「アダムの家」が連想される論考。

Nexus 2008には16編の論文が収められていますが、内容は広範にわたっており、これらは5つのカテゴリーに分けられています。

Architecture and Digital Technology
Historical Analyses
Architecture and Astronomy
Non-Western Design Analyses
Western Design Analyses

これらを纏める編者の仕事も大変で、どういう人物なのかと知りたくなります。
どうやらトリノで出版まで手がけている人。

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