2009年8月28日金曜日

Lugli 1957


古代ローマ建築の技法を述べた書として重宝な本。分厚い2冊から構成されています。ローマ建築の建造技術についてはJ.-P. アダムが近年、仏語版と英語版で良い本を出していますが、この伊語版も重要。
考古学者はこの伊語の本を引用することが少なくありません。

Giuseppe Lugli,
La technica edilizia romana, con particolare riguardo a Roma e Lazio, 2 vols.
(Presso Giovanni Bardi Editore, Roma, 1957)
Vol. I: Testo, 743 p.
Vol. II: Tavole, 210 tavole + 19 p.

再版も出ています。
文章編で700ページを超え、これに写真図版編がつきます。
古代ローマ建築がどのように計画され、建造されたかについては、すでに紀元前1世紀の建築家ウィトルウィウスがラテン語で「建築書」を書き残しており、これが世界最古の建築書となります。ウィトルウィウスの本は日本語訳も出ているほど、見逃せない基本史料。

こうした歴史もあって、古代ローマ建築についてはかなり古くから、技法の研究がおこなわれてきました。エジプトなど他の地域における石造建築の技法を考える場合でも、必ずといって良いほど古代ローマ建築が参照されるのはこのためです。古代ローマ建築の技法に関しては、一番研究が進んでいます。

しかし出版後、50年以上が経っており、改訂すべき点が出てきているのは事実です。建材の積み方でおおよその時代が判別できるという見方には異議も唱えられ始めています。
けれども文章編の中の図版も充実しており、今なおその生命を終えていません。
同じく伊語で書かれたCrema 1959とともに、研究者必携の書に挙げられます。

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