2010年1月9日土曜日

LÄ (Lexikon der Ägyptologie) 1975-1992


図書館学における分類では「総記」というものがあって、「本に関する本」という位置を占めます。これに相当する書籍をどれだけ活用できるかが、文献探索の大きな鍵となります。
通称「レキシコン」は、世界のエジプト学者たちが総力を結集させた全7巻のエジプト学事典。基本中の基本の文献です。エジプト学における事典の最高峰。

Wolfgang Helck und Eberhard Otto (Herausgegeben von),
Lexikon der Ägyptologie, 7 Bände
(Otto Harrassowitz, Wiesbaden, 1975-1992)

難点は高額なことで、今、これを個人で全巻揃えて購入するならば、30万円以上は少なくともかかるかと思います。特にさまざまなインデックス・地図などを収めた厚い第7巻は、一冊で10万円以上もする代物。
簡略版も出ています。

この百科事典の第一巻が出てからすでに30年以上が経ち、改訂版の刊行が問題になっていますが、あまりにも膨大な量であるために、作業はほとんど進んでいないように見受けられます。ドイツ系の人たちによって執筆者が多く占められたというのも、いささか問題でした。

この事典はエジプト学を進めている研究機関には必ず置いてあり、福岡キャンパスの図書館にも揃っていますから、この本に慣れることがまず肝要かと思われます。
各項目の下には誰が執筆したかを略して記載していますので、引用の際には巻頭でその名前の略称を調べ、執筆者名を明記することが望まれます。

個人で手が届く事典ということになると、次には

Donald B. Redford (ed.),
The Oxford Encyclopedia of Ancient Egypt, 3 vols.
(Oxford University Press, New York, 2001)
ca. 1800 p.

当たりかもしれませんが、これでもたぶん、10万円ほどします。
薄くて説明が簡単でもいいからもっと安いものをということであれば、

Ian Shaw and Paul Nicholson太字,
British Museum Dictionary of Ancient Egypt
(British Museum Press, London, 1995)
328 p.

で、これは和訳も出版されています。改訂版も出ました(Shaw and Nicholson 2008 (2nd ed.))。
小さくカラー図版が載っている、フランスから出版されたものも別にあり、

Georges Posener,
Dictionnaire de la civilisation égyptienne
(Fernand Hazan, Paris, 1959)
x, 324 p.

も便利でした。

一方、あんまりお勧めできないのは、

Margaret Bunson,
The Encyclopedia of Ancient Egypt
(Facts on File, New York, 1991)
xv, 291 p.

などで、たいして役に立ちません。
大事なことは、事典も複数見るということだと思います。

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